金の卵 連続ブログ小説 №12

金の卵 連続ブログ小説 №12

樹脂成型機の導入により会社は急成長して月日は過ぎた。

清三は成績が優秀な為大学進学を勧められたが仕事を取った。

仕事も忙しくなり社員も増え残業も多くなり夕食は会社に出来た食堂で取るようになった。

休日出勤も増え、ゆたか食堂にはご無沙汰である。

由美の事は心から消える事無く歳月は流れた。

二十歳になり区役所の成人式に出席して、大人の仲間入りができた。

成人を祝い先輩が夜の街に連れて行ってくれた。

上野駅前の歩道には屋台が並んでいた。

焼き豚やおでんの臭いに誘われ焼き豚の店に入った。清三は焼き鳥なのに何故焼き豚と言うのか教えて貰った。

先輩は梅割り三つと注文した、先輩二人は時々飲みに来ているらしい、清三は初めてのお酒である、コップに入っているのは焼酎の梅割り一口飲むと口当たりが良く美味しく感じた。

焼き豚は頭(かしら)から始まり、コメカミ、ナンコツ、ハツ(心臓)、レバー、胃、腸(大・小)コブクロ(子宮)など、タレ焼き、塩焼きと多彩である。

初めての食べ物に清三は余り馴染めなかった。

故郷に居る時の焼き鳥の味は忘れてはいない。

卵を産まなくなった鶏を家で解体して食べた事が何度も有った。

故郷を思い出して居るうちに自分の身体に異変が起きている事にきづいた。焼酎の梅割り美味しいので三杯飲み立ち上がったが歩けない。

焼酎は酔うと足腰に来ると聞いた事は有るが経験したのは初めてだった。

先輩に両脇を抱えて貰い何とか歩いているが引きずられている様な感じがした。暫らくの時間、不忍池畔のベンチで休んで居ると気分が良くなってきた、すると、先輩にもう一軒行こうと、清三は肩を叩かれたので立ち上がり歩き出した。

 「佐藤は酒が強いな、初めて飲んだと言うのは嘘だろう」

 「いいえ、本当に始めてです」と答えたが呂律が廻らないが話始めた。

清三の話によると、子供の頃から元旦に家族でお神酒を飲んでいたと言う。普段は父の晩酌は自家製の濁酒、醸造は勿論酒税法違反警察に逮捕される。そこで、醸造は山に穴を掘って埋めて置くと言う。

清三は酔っているせいか故郷の言葉で喋るので意味不明な処が何箇所か有った。そして、三人はキャバレーへ入っていった。

このキャバレーでの出来事で清三が人生を変える出来事が起こるとは誰も知る予知は無かった。

                    つづく