金の卵 連続ブログ小説 №17
金の卵 連続ブログ小説 №17
貴と麗子は電蓄から流れ出る音楽を聴きながら途切れ途切れの会話でり盛り上がらないで居た時、家政婦の花江がドアーをノックした。
「旦那様御飯の支度が出来ましたどうぞ召し上がってください」と会釈してドアーを閉めた。
貴はさあどうぞと手の平で行く先を案内していた。
部屋を出て広い廊下を歩き食堂のドアーを開けると麗子は驚いた。
十数名座れそうな食卓の隅に食事が並んでいたが余り広いので料理には気が着かなかった。
「さあこちらえ」と貴が椅子を引いて待っている。
「ありがとうございます」と椅子に座ると、目前には見たことの無いような料理が並んでいた。
「飲み物は何にしましょうか、ワインは如何ですか」
「ハイ・戴きます」
貴は赤色に染まったワイングラスを持って、では、乾杯しようと麗子と向き合う「俺の家に来てくれてありがとう」とグラスを合わせた音が綺麗な音色だった。
家政婦は明日片付けるから其のままにして置いて下さいと麗子の方を見て言い会釈した。
貴に丁寧に礼をして花江は帰っていった。
広い部屋に二人だけ、何か殺風景だと軽く食事を済まして応接間で飲みなおす事にした。
貴は麗子に「今晩此処に泊まったら良い」と酔いが廻ってきた口調で言葉を掛けた。
「お風呂に入ったらどうですか」貴が微笑みながら聞いた。
「後からで結構です」と答えて麗子は思わず手で口を塞いだ。
麗子はアパートを出た時から貴に何を求められても受け入れる準備と拒否が半々だった。
暫らくして、貴がタオル地のバスローブを着て部屋に入ってきた。
貴の湯上り姿に麗子は見惚れていた。
麗子は貴の「どうぞ」の声に入浴を決意した。
麗子は風呂場が広く綺麗な湯船は大理石で出来ているのには驚いた。
何時も銭湯を利用しているので、高級ホテルに来た様な感じだった。
湯船で身体を伸ばし浸かっていると、更衣室の扉が開く音がした、思わずタオルを胸に当てて俯いていた。
「此処に浴衣置いとくよ、俺のだから大きいけど辛抱して」と更衣室から出て行った。
麗子は身の上話をしながら目的地葉山の別荘に着いた、清三にこの続きは帰りに話すと言いながら車を止めた。
別荘は平屋ながら大きな家だった。鉄製門扉の文様は石神井の家と同じ物で表札も鋳物製で「金田」と鋳型の字が家を引き立てていた。
麗子の後に付いて家に入る、内装は洋式で各所に白石膏で模様が有り明るく綺麗な作りだった。
つづく