金の卵 連続ブログ小説 №50

金の卵 連続ブログ小説 №50

 

清三が29年の集団就職列車で来たことを話すと、二人は30年の列車だったと言う。

清三は宮城県、二人は青森県同じ東北、同郷であると言っても疑う者は居ない。

麗子が二人に声を掛けた。

「今日は梅ちゃんどうしたの」

「梅ちゃんは風邪を引いて寝込んでいる」と答えた。

何時も松ちゃん、竹ちゃん、梅ちゃんと三人で街中をフラフラしているので有名な三人組

松竹梅のお兄さんと言われている。

 三人組が勤める会社は昔、上野界隈では有名な暴力団であったが、今は、土木建築請負業の看板を出し事業をしている、通称土建屋である。

以前は水商売を商うには「みかじめ料」を組に払わないと成り立たなかった。

警察の指導でも「みかじめ料」を払わないと、法に触れない様に、あの手、この手で商売が成り立たない様に画策するのである。

例えば、組の若い者がコーヒー一杯で何時間もねばり、他の客が入り難くしたり、

店の前に糞尿を撒き散らし、考えられない事を平気でやるが、証拠が無く警察も手が出せなかった。

しかし、土建屋「姥塚組」の看板を上げた以上は堅気になって他人に迷惑を掛けないように成って来た。

しかし、昔のなごりか三人組は元のシマを遊び回り私設警察気取りでパトロールしている。

始めは、町人は迷惑顔だったが、日が立つにつれ真面目な行動だと町人に支持されるようになっていった。

夜は「火の用心」と町内を進んで回っている、かんしんな三人組であった。

                    つづく