金の卵 連続ブログ小説 №48

金の卵 連続ブログ小説 №48

 

暫らくして麗子が来る。

「ごめんなさいね、待たしてしまって」

「いや、どうもないです」

「やっと、決心して私の処に来てくれて有難う」

「いや、こちらこそ感謝しています」と頭を下げながら、今日は車の事まで世話に成ってしまった事のお礼を延べながら、又頭を下げた。

「失礼します」と障子戸が開くと大皿に載った料理が運ばれてきた。

 食べたことが無い大きな肉に野菜、見るからに美味しそうである。

鉄板が温まると、油身をのせて溶け出すと一面に塗り広げられ肉が載せられた。

コップにビールを注ぎ乾杯して、一気に飲み干した美味しさが喉を刺激し、胃袋におさまるのが解る。

何時もは、食堂で飲むビールは注文すると作る言わばインスタントビールである。

インスタントビールはどのようにして作るのか知らないが、値段は半額でもアルコールは強いらしく良い気持ちになるので時々飲んだ事があった。

鉄板の上の肉が小さな音を立てて焼けてくる、周りに野菜が載せてある。

「もう、食べられるからお食べ」麗子の言葉に清三は「戴きます」と箸を持ち食べだした。

「食べながらで、いいから聞いておいてほしい」

「ハイと言いながら、肉を取りタレをつけて口に入れた」

「明日から店に入ってもらうが、店長の指導を受け早く一人前になって店を持って欲しいと思っている、目標は三年がんばって下さい」

「ハイ、解りました努力いたします」

「一つだけ、必ず守って欲しい事があるの、若さの捌け口を女性に求めるのは仕方ないが店の女性だけは手を出さないで。商品ですから、解りましたか」

 清三は解りましたと、返事はしたが余り真剣には受け止めていなかった事が後に成って解るのであった。

                   つづく