金の卵 連続ブログ小説 №47
金の卵 連続ブログ小説 №47
アパートに着いた清三は、最後の後片付けも終わり、明朝の出発を待つばかりである。
何故か、寝つきが悪い、就職夜行列車の時も眠れなかったが、今夜は今まで住んで寝ていた部屋、其れなのに、いろいろな事を考えてしまう。
気が付くと、外が明らんで来たのを見て眠りに入った。
目覚めると、太陽がのぼり、雲一つ無い青空が広がっていた。
会社に行き社長や社員の方たちに挨拶して、アパートに戻り荷物運搬の車を待っている。
車は麗子の知人で八百屋を経営している主人が気持ち良く運転手付きで貸してくれた。
暫らくして、車が来たダットサン・トラックである。
荷台に整理タンスと洋服タンス蒲団を積み、他の細かい物を積むと荷台に一杯になる。
ロープを掛けて、清三は助手席に乗り出発した。
転居先のアパートに着き、荷物を部屋の中に押し込んだ儘で麗子の所に急いだ。
麗子に上野駅近くのオイル焼店に来るように言われていた清三は約束した時間よりも早く着いたので、店の近くをぶらぶらして時間を過ごし少し早いが店に入った。
ハーレムのママは来ていますかと店員に訪ねると店員は「少し遅くなると連絡がありました。どうぞ、こちらえ」と案内された席には予約席と書いたピラミット形の置物が中央に置かれていた。
店内を見るとまだ客数は少なく静かだった。
予約席は奥の個室、障子を閉めると一層静まりかえっていた。
清三は初めてのオイル焼きにどんな料理が出てくるか楽しみにしながら、いろいろ想像したが結論が出る筈もなかったが考えるだけでも楽しいものであると感じた。
つづく