金の卵 連続ブログ小説 №44

金の卵 連続ブログ小説 №44

 

「清三が来た時、訛りがひどく何を言っているのか解らなかったぞ、なあ梅田」と藤田が梅田に話し掛る。

梅田は清三に「お前は東京の言葉どう感じた」

「ハイ私も先輩が何を話しているか、あまり聞き取れず、よく怒られました。他国に来たと思いましたよ」と清三はすっかり馴れた東京弁で話したが、酔いが回るに従って訛りが入り、話の種を作っていた。

 訛りはお国の通行手形と言うが、お国で通じても他国では解らない事が多い。

或る日、清三が電車から落ちたと言うので、梅田がけがは無かったかと尋ねると、え・えと不思議そうな顔をしていた。

無理も無い都電のステップは気をつけないと危ないから、しかし、そうでは無かった。

バスや電車から降りる事を「おちる」「おちた」との意味、そこで梅田は聞いた。

「物が落ちる事は何と言う」

「おっこちる」と清三は答えた。

清三にしてみれば、生まれて十六年育ったお国言葉が身についているのは仕方ない事であった。

清三にして見れば、今日は「かったるい」と言う先輩の言葉と同じ事であると思い辞書を引くと載っているので、標準語なのかと記憶した。

「かったるい」を清三に言わせると「こわい」である。

では、お化けなどの「怖い」はと聞くと「おっかねえ」との返答だった。

 話も盛り上がり、時の過ぎるのも忘れる位の楽しい時間だったが、清三は何か物足りなさを感じていた。

                    つづく