金の卵 連続ブログ小説 №21

金の卵 連続ブログ小説 №21

 

貴は戦争孤児になった。野良犬のように子供一人でいきていた。やがて終戦になったが、貴の生活は変わらなかった。

公園のベンチや地下道で寝泊りし、昼は食べ物を探して闇市に出かけたが、食べ物に有り付ける時と無い時があつた。

腹が減って眠れぬ生活が続いていた。

そんな時、前に住んでいた家の事を思い出していた。

家は裕福でぼんぼん育ち、焼け野原の東京でどうして生きて行く事が出来るのか知らない、闇市に行っても自分から物乞い出来ず只同情してくれる人からの戴き物しか口に入らなかった。

やがて、身体は衰弱し行き倒れになり病院に収容された。

病院の診察で栄養失調と診断され、孤児院に収容された。

孤児院での食事、栄養価は低いが規則正しく食事は与えられた。

小中学校は孤児院から通学して居たので、学校では酷い虐めに毎日遭っていた。

虐めに我慢できず、目には目をと仕返しし、相手が大けがをしてしまい札付きの不良少年のレッテルを貼られた。

貴が悪いのではないが、ただ、孤児院と言うだけで白い目で見られていた。

そんな中に、貴を何かと庇ってくれた安田礼子と言う一人の少女がいた。

貴は少女礼子に恋心を抱くようになり、心の中に閉じ込めたまま中学を卒業した。

卒業した貴は、金融業を営む人に将来は養子縁組をする約束して住み込みで手伝い、夜は夜間高校で勉強できる事になった。

 卒業してから一年程過ぎたある日、貴に礼子から手紙が来たが開封前に封書を抱き締めた。

手紙の内容は引越しするので新しい住所を知らせる内容と理由が書いてあった。

                   つづく