2021-02-21から1日間の記事一覧

金の卵 連続ブログ小説 №3

金の卵 連続ブログ小説 №3 ホームには一人の少女が左手にハンカチを持ち佇んでいた。 九年間一緒に通学した友達、佐藤清三を見送っていた 弘ちゃんであった。 窓際に座り車窓から見える故郷の景色に胸が熱くなるのを感じた。 いつも家から列車を見ているが、…

金の卵 連続ブログ小説 №2

金の卵 連続ブログ小説 №2 昭和二十九年四月五日集団就職列車第一号が、金の卵を乗せて故郷を後にする。 駅のホームには老若男女が大勢集まって列車の到着を待っている。 皆の視線は稜線でできた山間に雪渓が見える山の方角である。そこに登坂を黒煙出しなが…